住職のショートショート:エピソード34「救われるとはどういうことですか?」

救われるとはどういうことですか?

お寺の学習会での出来事。
「仏様はその名前を称える事で、どのような者であっても
救ってくださるとおっしゃってます。」
と私が、お経に書かれたお話をしました。


「『救われる』とはどういうことですか?」と質問を受けました。
私は、狼狽しました。
楽になる、苦しみ悩みから解き放たれる。
そういうことだろうと漠然と考えてましたが、
質問者は納得できないらしい。
願い事が叶うのが信仰の御利益ということです。
日々を普通に生きて行ければ、別に救われようとは思わない。

恋人ができる、病気がなおる、志望校入学できる、お金が入ってくる。
今よりしあわせになることが御利益。
現実は、願い事が叶うと、一瞬幸せだと思うが、
すぐ次の願い事がでてきたり、不平不満がでてくる。
うまくいかない生活が続くと、
振り返って「あの頃はしあわせだった。」と思います。
また未来には幸せがくるようにと期待します。
今が幸せだとは思えない。

親鸞は、「念仏者は空しく過ぎていく事が無い」と言ってます。
念仏で願い事が叶うとは言ってません。
願い事を叶う事を目的として生きるのか、
空しく過ぎない人生を送ることを目的として生きるのか、
目的地が違っていると、たどり着く境地も違うように思います。
仏様の願いに出遇って、自分の人生が、
空しく過ぎていないと深く感じる事が出来れば、
『救われた』と思える。

旅は、目的地を決める事がスタートになります。

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