孫の誕生で親友を無くす
お寺の法要に、仲良しの女性がお二人来られました。同じくらいの年代に見えました。
どちらも娘さんがおられて、あと少しで初孫さんがお誕生予定でした。
とても心待ちにされている様子が、表情やお話の内容から伝わってきます。
周りの雰囲気も和らいで来ました。
赤ちゃんを想像するだけで、幸せな気持ちになります。
それからしばらくして、その1人の女性に会うことが有りました。
お孫さまが生まれ、とても喜んでおられます。
私はお祝いの言葉を述べて、
「ところであの仲良しのお友達はどうされてますか?」とお聞きしました。
すると、「最近会って無いのです?」との答えが返ってきました。
私がキョトンとした顔をしてると、
「実は、あのお友達の娘さん、死産やったんです。」
どちらも初孫さんのお誕生で、
さらに仲良くお付き合いされているとばかり私は思っていました。
ところが一方は無事生まれ、他方は生まれることができなかったのです。
お二人の間に、悲しみと喜びが同時に起こり、
これまでの関係を続けて行くことが出来なくなりました。
もっと日にちをおいてその事が起これば、
慰めあったり、寄り添ってあげたり、
喜んであげることもできたかもしれません。
支え合ってさらに深い友情が育っていったように思いました。
物事は、人間の思いを超えて、起こりました。
『つくべき縁有ればともない離るべき縁あれば離るる』
という、歎異抄に教えられている言葉通りだなあと、
私は心が深く傷みました。
歎異抄 親鸞の弟子 唯円著