住職のショートショート：エピソード6「思いがけない来客」

思いがけない来客

「思いがけずは想いをかけられて」という言葉を聞いた事があります。
ある日、私はお参りに出かけようとすると、突然の来客が有りました。
なんでも朝早くから関東から数時間かけて、当寺にこられたとのことでした。
そんなに遠くから来られるのなら、アポを取って欲しい、私も行くところがあるのに、迷惑なことだと、私は思いました。
詳しく聞けませんでしたが、私の父とトラブルがあって何年も疎遠になっていたそうです。

もう前住職の父が亡くなって15年になります。その方は、ずっと父に謝罪しようと暮らしておられたようです。
お寺に手を合わせて、お供えを置いて帰られました。
私にとっては思いがけずの来客でしたが、その方から、長い時間、想いをかけられていた事に気付かされました。

私も人生の中で謝罪したい事があります。その方のようにできれば良いのですが‥・