住職のショートショート:エピソード23-1「努力は報われる(前編)」

努力は報われる(前編)

北京オリンピックが閉幕しました。
金銀銅のメダルが授与されています。
オリンピック以外の多くの競技では優勝のみ評価されています。

1番悔しいのは2位だそうです。
「優勝できなければ何位でも同じく負け!」とのコメントを良く耳にします。

金銀銅は、それぞれに価値感があって良いなと、私は思います。
優勝者のインタビューで、
「これまでの努力が報われた、みなさんも諦めずに努力して欲しい!」
とコメントを聞きます。
誰でも努力すれば優勝できるのでしょうか。

2005年秋、私はダーツ競技会場にいました。
全国から400名に迫る選手が集いました。
当時日本で1番大きなダーツ大会でした。

大阪梅田のビルの窓から、行き交う人々をぼぉっと眺めていました。私がダーツを始めた時には、周りはほとんど歳下のプレーヤーばかりでした。
やり始めてダーツの奥深さを感じて、
置いていかれないように私なりの努力をしていました。
試合で敗れた選手達が次々帰って行きます。
その中に、知り合いがいて、
「帰るんですか?」と声をかけると、
逆に「まだ残ってるのですか?」と質問されました。

私がまだ勝ち残っているとは思わなかったようです。
また別の友人から、「決勝まで行けよー!」と励ましてくれました。

誰も私に「優勝しろよと」は言ってくれません。
決勝までの待ち時間、対戦相手は、友人と談笑しています。
何度も勝ち上がっている常連です。

私はこの大会の前に、毎日一ヶ所だけ練習していました。
ダーツは、501点から高得点を狙い、減らしていきますが、
最後は、残り点ちょうどのところで終わります。
展開によって、その場所がどこに来るかわかりません。

友人から「そこだけ練習しても、あかんよ!」と言われました。
私はあちこちするより、せめてそこだけは決めたいとの思いで練習してました。

(後編に続く)

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